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講演「誰にでも起こり得る不適切なかかわりをしないために」 山梨県立大学 教授 西沢 哲 先生
シンポジウム「関わりの難しい子どもへのかかわり」 乳児院 二葉乳児院 都留 和光 児童養護施設 唐池学園 安部 慎吾 児童自立支援施設 岡山県立成徳学園 西浪 祥子 情緒障害児短期治療施設 あゆみの丘 田村 薫 司会 新島学園短期大学 亀井 聡
講演概要 児童養護施設には様々な精神科症状が深刻な行動上の問題行動が激しい子ども、乖離症状を呈する子どもなど、本来は小児精神科病棟にいるべき子どもが入所している。にもかかわらず児童養護施設では本当の意味で心理的な治療ができず、子どもは大人に対して挑発的になり、大人の怒り・暴力行為を誘因し、虐待的人間関係の再現性により施設内虐待が生起しているのではなかろうか。すなわち、子どもたちにかかわっていると、知らず知らずのうちに、いつの間にか暴言をはく、怒鳴りつける、体罰を行う、などが無意識のうちに起こり、子どもの症状に捕らわれてしまった結果、施設内虐待につながるケースもある。 世界の社会的養護の動向は、施設養護から個別的養護に移行しており、施設養育のマイナスが指摘されている。施設症候群というべき、自己決定が阻害されるような環境により、極端な受動性に陥り、結果的にルールに従ってしまい、自らが生活を創造する力がそがれている。 また、職員は交代勤務が大半であり、また平均勤続年数を見ても数年という現実から、恒常的なアタッチメント対象が不在であり、適切な人間関係の形成能力が阻害されているのではなかろうか。欧米諸国の社会的養護の基本的な考え方として、施設ケアはアタッチメントを重要視するということが根底にある。 また、子どもたちは本当に安心できている環境の保証が果たしてなされているか、ということも大きな課題であろう。しかし、児童養護施設の実態として、自分の領域に他者がずかずかと入ってくることが、日常茶飯事になって心からリラックスできていない。そうなると、交感神経と副交感神経のバランスが不安定になり、常に交感神経が活発になっている状態で敏感に、ものに対して反応している。 次に、児童養護施設には自立が求めらているが、自立とは様々なレベルがあり、精神的自立が必要である。しかし、施設では生活技術の自立のみが重視されがちである。精神的自立というのは、「大事にされている」という実感から、自分は愛される価値のある存在だという思いが精神的自立へとつながっていく。 施設内虐待につながる制度的要因として、極端に少ないケアワーカーの配置、集団を管理する、動かすという発想がある。最低基準の改定は必要だが、それだけではなく、正しい養育観を持たないと、単に人員増が図られただけでは何の意味も持たない。体罰に関して言えば、しつけとの峻別ができていないのではないか。しつけとはセルフコントロールの獲得であり、子どもの問題をとらえる視点がずれると、子どもに対して不適切なかかわりになってしまい、暴力による抑圧をおこなおうとする。すべての問題行動とは子どもの自己表現である。 施設は「集団生活だから枠があってしかるべき」との声があるが、ルールによって子どもの行動を縛っていると、施設症候群を超えることはできない。当初は、ルールによって縛っていても、その中で、子どもの行動の枠が、「関係性の枠」になっていかなければならない。その枠が、心の中の枠、すなわちセルフコントロールができるようになる必要性がある。 |
| 西沢先生講演 |
| シンポジウム |
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